私の優しくない先輩作者: 日日日出版社/メーカー: 碧天舎発売日: 2005/01メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 351回この商品を含むブログ (108件) を見る

 最近巷ではライトノベルがブーム。ホントかよ、売り上げ減少に悩む出版社と書店が手を組んで仕掛けているだけだろ、と突っ込んでいる自分がいますが、一応何か読まなければと思い、「私の優しくない先輩」を読んでみました。
 作者は日日日(これでアキラと読むらしい)。碧天舎という、自費出版が中心の出版社(この辺は、文芸社からデビューした山田 悠介と同じですね)の作品です。
 内容は余命いくばくもない女子高生の主人公の日常を描いた青春物。ページ数は130枚ほどなので、中篇小説といってよく、一時間ほどでサクサク読めました。
 で、感想は……。
 悪くはない、という一言です。己の死を達観している主人公の感情も、教養や皮肉の使い方もいい感じで、1つ1つの文章はセンスがあり楽しめます。その一方で、肝心のストーリーに殆ど進展がないというのが少しマイナス点でしょうか。1章を読んだだけで、今後の展開も予測できますし。
が、ページ数が少ないことと、ストーリーを中心に置いた作品ではないと思うので、致命的な欠点ではないでしょう。
 ただ、恩田陸の「六番目の小夜子」、上遠野浩平の「ブギーポップは笑わない」といったデビュー作と比較してしまうと、読後に残るものがない。読者の胸に何の傷跡も残せない。つまり、比較対象にすらならないといったところ。
 まあ、セカチューよりは泣ける話(オレだけか?)ではあるので、今度は長編を読んでみたいものです。