暗黒館の殺人 (上) (講談社ノベルス)作者: 綾辻行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/09/10メディア: 新書購入: 1人 クリック: 95回この商品を含むブログ (223件) を見る暗黒館の殺人 (下) (講談社ノベルス)作者: 綾辻行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/09/10メディア: 新書購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (201件) を見る

毎日ロッテの話題だと段々_| ̄|○なので、気分を変えて最近読んだ本の感想でも。
という訳で、今回取り上げるのは、暗黒館の殺人です。
館シリーズとしては黒猫館の殺人以来、実に10年以上の新作であり、当時文字通り厨坊だった自分としては、待ちに待ったというより、「もう新刊なんてでないだろ」と思っていただけに(雑誌連載時からして、途中で打ち切りでしょと思っていた)、いざ連載が終了し、新聞に広告が掲載されても半信半疑。ある日、立ち寄った書泉ブックマートに積まれていた人を殴り殺せる凶器となるような黒い物体(愛蔵版です)を見た瞬間、ようやく「ああ、綾辻さん、疑ってすみませんでした」と懺悔した次第です。
 で、肝心の内容はというと……。
 いや、別に2ちゃんで酷評されているような駄作ではないし、「アヤツジももう終ったな」なんていうほど、酷い作品じゃありませんよ。中也君が実は○○だったり、江南君が実は○○だったりとかは、アヤツジ先生が昔から仰っている「ネガとポジの反転」のような驚きはありましたし。(無駄に長い文章に耐えられれば)
 ただ今回の館、すなわち暗黒館という建物が、どうも自分には時計館や霧越邸が持っていたような存在感が感じられないんですよね。本文の長さが時計館+霧越邸ぐらいあるのに、肝心の館が、その場に居る人間を支配するほどの場の力を全く感じさせないんです。尤もこれはアヤツジ先生の筆力が落ちたのか、読み手である自分の感性が変わってしまったのか、判断が難しいとこなんですが。
元々自分はアヤツジ先生は推理小説というより、ミステリ小説の住人だと思っているので、推理とかトリックとかより、ミステリアスなお話を書いていただければいいんですけど、今後はそれすら書けないんじゃないかと。それが不安ですね。
一言言わせてもらえれば、やっぱ十年以上も待たされれば、例えどんな傑作を発表されようと、読者はもう満足出来ないと思うんですよ。これは音楽とかでも同じで、やっぱ何年も作品を発表しないと、受けて側の方がどんどん勝手に脳内妄想を膨らませてしまって、ハードルがおそろしく高くなりますんで。
そんな訳で、次回作(推理小説の方ですよ)は今年かせめて来年に発表して下さい。
あと最後にもう一言。色々偉そうなこといって、結局愛蔵版を買わなくて申し訳ございませんでした。