風は山河より 第一巻


風は山河より 第一巻

風は山河より 第一巻


自分ランク:B
100冊82冊目


 戦国前夜の奥三河野田城主・菅沼新八郎定則は、瞬く間に西三河を統一した松平清康の驍名を聞き、卓越した判断力で帰属する今川家を離れる決意をする。鬼神の如き戦術の妙、仏のような情義の心。家康が目指したのは、祖父の清康だった―。中国歴史小説の巨匠が初めて挑む戦国日本、躍動の第一巻。
 中国歴史モノで第一人者である著者が、日本の戦国時代をテーマにしたシリーズ。徳川家と三河を語るにあたり、家康の祖父松平清康の登場から物語が始まるのが良し。清康は知名度のわりにはどんな人物だったのか、語ってくれる作品は少なかった。時期も、今年の大河ドラマ風林火山」に重なるので、興味深く読める。
 今まで中国史を扱っていてその分敷居が高かったが、そうした点も改善されており、宮城谷作品の入門としてオススメできる一冊だ。