ウロボロスの純正音律
- 作者: 竹本健治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/22
- メディア: 単行本
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自分ランク:C
100冊中36冊目
知的興奮の極!!
古色蒼然たる洋館で古典名作ミステリ見立ての連続殺人事件発生! 錯綜する謎また謎に、幾多のミステリ作家・評論家・編集者たちが挑む!!
長編マンガの描き下ろしの依頼を受けた竹本は、<玲瓏館>の一室を借りて作業を開始した。怪しげな使用人たち。アシスタント陣。そして館に集まった錚々たるミステリ作家・評論家・編集者たちの面前で、突然『モルグ街の殺人』見立ての殺人事件発生! 一同は早速推理合戦を開始するが、真相に辿り着けないまま、第二の見立て殺人が起こってしまう。彼らは果たして犯人をつきとめ、新たな凶行を阻止できるのか?
重層する暗合。舞い踊るペダントリー。ミステリファン待望の「ウロボロス」シリーズ完結篇。8年の制作期間を経て、ついに堂々完成!―アマゾン
91年に刊行された「ウロボロスの偽書」、95年刊行の「ウロボロスの基礎論」そして、06年刊行の「純正音律」、ウロボロスシリーズの完結である。
7年に及ぶ連載、黒死館殺人事件をモチーフにし、囲碁・音楽・漫画・等を盛り込んだお祭り的な一冊。私小説にフィクションを混ぜることで虚構と現実の境目をあやふやにし、読者を翻弄する。
のだが……。
偽書が3つの事件、基礎論が2つの事件が絡み合っているのに対し、純正音律は1つの事件しか起こらず、ダラダラと話が進んでいる印象が拭えない。そして作品を支えるメイントリックが某作品の二番煎じ。別に二番煎じは構わないのだが、二番煎じである以上、トリックの見せ方が効果的でないといかんのだが、「うーん」という感じ。
正直、前2作の出来がトリック、演出、人物描写(実存する人物を物語の登場人物として編集し直すのは正に名人芸)共に一級品だっただけに、今作はがっくしといった感じ。オレ、囲碁わからねーし。