涼宮ハルヒの消失

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

自分ランク:B


涼宮ハルヒ?それ誰?」って、国木田よ、そう思いたくなる気持ちは解らんでもないが、そんなに真顔で言うことはないだろう。だが他のやつらもハルヒなんか最初からいなかったような口ぶりだ。混乱する俺に追い打ちをかけるようにニコニコ笑顔で教室に現れた女は、俺を殺そうとし、消失したはずの委員長・朝倉涼子だった!どうやら俺はちっとも笑えない状況におかれてしまったらしいな。大人気シリーズ第4巻、驚愕のスタート。−Byアマゾン


 ハルヒシリーズ4作目である。そしてシリーズの転換作にして、最大傑作と称されるのが本書である。

自分なりに、本書が何故シリーズの最高傑作と称されるのか、考えてみた。
1・ページ数の適切さ。
 本書は全251ページという、ハルヒシリーズの長編では一番の短さである。そしてハルヒシリーズは長編よりも中編、短編向きのネタではと考える(今までの作品も長編より短編集のほうが完成度は高い)。長編だとどうしても、短編向けのネタを長編用として処理する為、作品の内容が薄くなってしまい、結果としてどこか物足りない感想を得てしまう。
 しかし「消失」は、その多すぎないページ数により、作中の濃度が濃い。

2・主人公の立場の変化
 主人公である「キョン」は何だかんだ言いながら物語を舞台の袖から見学する観客に過ぎなかった。典型的な巻き込まれ主人公の「キョン」は、物語において謎解きに参加したり、物語を閉幕させる役目を背負わせられたりしていたが、それはあくまで巻き込まれ型の主人公の姿でしかなかった。
 それが今作では、物語の混迷を目の当たりにし、自ら舞台の上に上がる決意をしたのである。

 こうした面から、今作は以後の「ハルヒ」シリーズの流れを変えてしまった作品なのだが、そんな理屈よりも「消失に登場するもう一人の長門有希」がめがっさ可愛いぞー(゚∀゚)
 キノシリーズの「学園キノ」よろしく、パラレルワールドストーリーとして書いてくれませんかねぇ、谷川さん?

9/100