ハツカネズミの時間(1) (アフタヌーンKC)作者: 冬目景出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/05/23メディア: コミック クリック: 23回この商品を含むブログ (160件) を見る 

 閉鎖された学園。そこで生活する少年・少女達。疑惑、苦悩、脱走……。
 実に冬目景的な世界であり、この先の展開が楽しみなシリーズである。と同時に、一抹の不安もある。それは作品にではなく、冬目景のストーリーテーラーとしての資質である。冬目景という人は、魅力ある設定、人物を創作し、大風呂敷を広げるのが得意な反面、広げた大風呂敷を上手くたためずに物語が破綻し、中途半歩な結末を向かえるか、未完のまま連載が終了するのが常な漫画家である。
 ボクは小説家では恩田陸の作品も好みであるのだが、恩田さんにもこうした点は共通している。尤も、二人の作品はその不安定さ故に魅力があるとも言えるのだが。
 ハツカネズミの時間は週刊誌であるモーニングに月一の連載でスタートし、現在は月刊誌のアフターヌーンに発表の場を移している。出版社サイドとしては好評ならば月一連載から週間連載に移行するつもりだったのだろうが、冬目さんの筆力を舐めてはいけない。彼女のこれまでの活動ペースを考えてみると、月一でも充分なのだから。