ボトルネック

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自分ランク:B
100冊中55冊


 恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい……。
 かつて自分が存在していた世界の姿と自分ではなく「姉」が存在している世界の姿を対比させることにより、有り得たかもしれない可能性を次々と突き付けられ、打ちのめされる僕。
 ミステリというのは謎が足りず、青春小説というには温度が低すぎる一冊だが、そのラストまで救いのない絶望感は、麻耶雄嵩の「痾」を思い起こさせる。
 先生、鬱なときには読まないほうがいいと思います。