ほうかご探偵隊

ほうかご探偵隊 (ミステリーランド)

ほうかご探偵隊 (ミステリーランド)

自分ランク:A
100冊中44冊


僕のクラスで連続消失事件が発生。僕は四番目の被害者に!といっても、なくなったのはもう授業でも使わないたて笛の一部。なぜこんなものが!?棟方くんの絵、ニワトリ、巨大な招き猫型募金箱、そしてたて笛が一日おきに姿を消すという奇妙な事件が五年三組にだけ起こっている。ニワトリなんか密室からの消失だ。この不可思議な事件を解決してみないかと江戸川乱歩好きの龍之介くんに誘われ、僕らは探偵活動を始めることにした。僕がちょっと気になっている女子も加わり事件を調べていくのだが…。そこにニワトリ惨殺目撃証言が!町内で起きた宝石泥棒との関連は?龍之介くんの名推理がすべてを明らかにする。Byアマゾン


 講談社が「子供に対して良質なミステリを」のコンセプトで始めた、ミステリーランドの一冊である。このミステリーランド、先日他界された宇山日出臣新本格の仕掛け人)氏が手掛けただけあって、国内の実力作家がずらりと顔を揃えている。当然その作品も良作が多いのだが、何を持って子供向けとするか、そこが各作家によって異なってくるわけで(麻耶雄嵩の「神様ゲーム」なんて、正に麻耶ミステリの大傑作だが、これを読んだ子供は変なトラウマとか抱えそうだし)。
 そんな中で、「ほうかご探偵隊」は、北村薫作品を子供向けに書いたような味がある。殺人事件が起こるわけでもない、大掛かりなトリックがあるわけでもない、おどろおどろしい恐怖があるわけでもない。しかし、良質なミステリがここにはある。
 いかにも倉知淳らしい、全く無駄の無い文章、二転三転の謎解き、登場人物たちのキャラの立ち具合。
 麻耶の「神様ゲーム」と対極を成す作品である(こっちの方が古いですけど)。