働くことがイヤな人のための本

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)


自分ランク:B
100冊中42冊目

「仕事とは何だろうか?」「人はなぜ働かねばならないのか?」「生きることがそのまま仕事であることは可能か?」―引きこもりの留年生、三十過ぎの未婚OL、中年サラリーマン、元・哲学青年の会社経営者といった人物との架空対話を通して、人間が「よく生きること」の意味を探究する。仕事としっくりいかず、生きがいを見出せない人たちに贈る、哲学者からのメッセージ。By密林


 本書の凄い所は、巷の自己啓発PHP系と違って、この本を読んだからといって自己が抱えている問題が解決するわけではないということだ。
 働くことがイヤ。ではどうすればいいか? そうした点にたいして、著者の言葉は極めて無力だ。曰く、「働くことに意味を見出すな」「働くということは生きる為の手段に過ぎない」「世の中は理不尽なのが当たり前」「我々凡人は無力であり、何も成しえないままに死んでいく」……。
 ボクが巷の自己啓発ビジネス書を信じられないのは、たかが社会の歯車で幾らでも替えのきく己のことを、さも己がいなかれば社会は大変なことになるんだと囃し立てている点にある。
 本書はそうした視線とは対極に位置し、読んだからといって救われるわけでもなく、さらにモヤモヤとした感じが残るだけだ。が、たかが仕事に過渡な期待をするな、オマエはただ死ぬ為だけに生きているというスタンスには共感してしまった。

 
 しかし、オレもいい加減に働かなければ……。金がなくて、ペルソナ3の設定資料集が買えないこんな世の中じゃ……。