エデンの命題

エデンの命題 The Proposition of Eden (カッパノベルス)

エデンの命題 The Proposition of Eden (カッパノベルス)

自分ランク:B
100冊中35冊目

アスペルガー症候群の子供たちを集めた「地上の楽園」、アスピー・エデン学園から、一人の少女が消えた。残されたぼく、ザッカリ・カハネの元に届いた恐るべき文書「エデンの命題」。そこに記されていたのは、選民思想に取り憑かれた一族の忌まわしき野望と、アスピー・エデンの恐怖の実態だった。生きるために、殺されないために、アスピー・エデンを脱出したザッカリを待ち受ける驚愕の真実とは何か!本格ミステリーの旗手・島田荘司が、旧約聖書の謎を最新の科学情報で読み解いた、新世紀ミステリーの記念碑的力作!ほかに、脳のミステリーに迫って、「21世紀本格」の嚆矢となった傑作中編「ヘルター・スケルター」を収録―Byアマゾン


 島田荘司の提唱する、「最新の科学の知見を本格ミステリーに結合させた新しいミステリーの概念」、即ち二十一世紀本格の例を示した中篇2篇が収録されている。
「エデンの命題」及び「ヘルター・スケルター」共に、人間の脳をテーマにしている。島田荘司だけでなく、ここ最近は「脳」に関する物語が大流行だなぁ。
 脳に関する小難しい理屈を何だかんだ力業で読ませてしまうのは、流石島田荘司といったところか。「エデンの命題」はより脳の仕組みについて、「ヘルター・スケルター」はより謎解きに重点を置いている。
 しかし、ミステリと脳の仕組みを絡ませる作品の書き方は、やはり竹本健治の方に一日の長があるか。