信長の親衛隊
- 作者: 谷口克広
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1998/12/01
- メディア: 新書
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自分ランク:B
100冊中27冊目
強烈な個性で迅速果敢に中世的権威を否定し戦国乱世を勝ち抜いた信長には、戦場で本陣を固める馬廻や小姓といった強者たちのほかに、秘書や吏僚として治世や文化などの面で活躍する近臣・近従がいたことを忘れてはならない。彼らは職業や出自を問わぬ信長に見出だされ、その才能を惜しみなく発揮し、信長の手足となって献身的におのおのの本分を尽くした。本書は、これら無名に近い近従たちに光を当てながら新たな信長像に迫る(アマゾン)。
信長死後の織田政権が脆くも瓦解したのは、本能寺で信長が倒れた以上に、二条御所で嫡男信忠と信長子飼いの近臣たちが討死したことの方が原因であろう。
本能寺の変では信長に殉じた森蘭丸があまりに有名だが、信忠と共に二条御所で討死した者は、京都所司代の村井貞勝を筆頭に、菅谷長頼、福富秀勝、野々村正成、下石頼重、団忠正、坂井越中守、斉藤新五郎等々。
彼等は来るべき織田政権を担う人材だった。
代表的な近臣の一人である堀秀政は、偶然にも秀吉の元に使者として派遣された為に生き残った。その後秀政は「名人久太郎」と称され、若くして越前十八万石の大名となる。その器量は蒲生氏郷に勝るとも劣らないが、若くして病没してしまう。
だが、秀政は本能寺の変を生き残り、名を残せた。
本書は、本能寺の変とそれに伴う織田政権の崩壊、また信長の統一事業の過程で散っていった者、消えていった者たち、(例えば万見仙千代や塙直政、武井夕庵など)、名を残せなかった者たちに光を当てた一冊である。
戦国オタとしては、織田信長だけではなく、長宗我部元親か北条氏康の家臣についての手ごろな本があればなあと思う今日この頃。