英仏百年戦争

英仏百年戦争 (集英社新書)

英仏百年戦争 (集英社新書)

自分ランク:B


それは、英仏間の戦争でも、百年の戦争でもなかった。イングランド王、フランス王と、頭に載せる王冠の色や形は違えども、戦う二大勢力ともに「フランス人」だった。また、この時期の戦争は、むしろそれ以前の抗争の延長線上に位置づけられる。それがなぜ、後世「英仏百年戦争」と命名され、黒太子エドワードやジャンヌ・ダルクといった国民的英雄が創出されるにいたったのか。直木賞作家にして西洋歴史小説の第一人者の筆は、一三三七年から一四五三年にかけての錯綜する出来事をやさしく解きほぐし、より深いヨーロッパ理解へと読者をいざなってくれる(アマゾン)。


 高校時代、世界史を選択していたのだが、百年戦争について持っていた知識といえば、イングランドとフランスが何か知らんが長年戦っていて、フランス劣勢の際にジャンヌ・ダルクが登場してフランスの勝利に終わる。そんな程度でしかなかった。
 だから本書を読んでびっくり仰天。
 百年戦争はイギリスとフランスの戦争というよりも、フランス国王とフランス一の大貴族とのフランス王位を巡る争いといった方が正しいということ。そもそもイングランドはフランス貴族ノルマンディ公ギョームが占領し、イングランド王位を兼ねていたこと。そもそもイングランドは、たかが一豪族に打倒されるような弱小王国でしかなかったこと。この戦争を体験することによって、イギリス(ウェールズ等も征服済み)とフランスという国家が形作られたこと。ジャンヌ・ダルクは当時雑魚扱いで、英雄として発掘したのは、かのフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトだったということ等々。
 教科書を読むだけでは分からない歴史が、ここには確かに存在する。

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