南海ホークスがあったころ

自分ランク:A

 かつて南海ホークスというプロ野球チームが大阪難波に存在していた。
 そのチームには、杉浦忠皆川睦雄村上雅則野村克也、飯田徳治、岡本伊三美木塚忠助、蔭山和夫、大沢啓二広瀬叔功門田博光新井宏昌山本和範といった名選手が所属し、名将鶴岡一人が二十年以上に渡り指揮を執り、読売ジャイアンツと並ぶ人気チームであった。
 人気、実力共に阪神タイガース を凌いでいたこのチームは、1959年に宿敵読売に勝利し、チャンピオンフラッグを掲げて大阪は御堂筋に凱旋した。世に言う「御堂筋パレード」である。
 月日が流れ、球界の盟主から転落し、万年Bクラスのチームとなり、観客は数えるほどしか居らず、お荷物球団となり、1988年9月14日に球団のダイエーへの身売りが発表され、50年に渡る歴史に幕を下ろした。

 本書はそんな南海ホークスの姿を、ホークスを観て生まれ育った大阪の二人の学者(大衆文化と建築学の専門家)が書き記した一冊である。
プロ野球について、ホークスについて、大阪という都市について。
南海ホークスというチームがどのような環境で育ち、歴史を背負い、そして崩壊していったのかを、膨大な資料と的確な調査により解き明かしていく。
プロ野球ファンは勿論のこと、プロ野球に興味がない人も勿論、名門と称されたチームの栄枯必衰の姿には胸を打つものがあるに違いない。

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